「写真を見ると肩が前に入っている」
「横から見ると背中が丸く見える」
「肩を後ろへ引こうとしても、すぐ元に戻ってしまう」
このような方は、いわゆる「巻き肩」の姿勢になっているかもしれません。
巻き肩は病名ではなく、肩が身体の前方へ入り込んだように見える姿勢を表す言葉です。
デスクワークやスマートフォンを長時間使用する方では、頭が前へ出る姿勢や猫背と一緒にみられることもあります。
今回は、巻き肩の特徴、自宅でできる簡単なセルフチェック、肩こりとの関係、日常生活で見直したいポイントについて解説します。
巻き肩とは?
巻き肩とは、肩が身体の前方へ入り、肩甲骨も外側へ開いたように見える姿勢のことを一般的に指します。
正面から鏡を見たときに手の甲が前を向きやすい、横から見たときに肩が胸より前へ出ている、といった特徴がみられることがあります。
ただし、肩が少し前へ出ているだけで「悪い姿勢」「治さなければならない」と決める必要はありません。
姿勢には個人差があります。
大切なのは、見た目だけではなく、肩こり・首こり・背中の張りなどの症状があるか、肩や肩甲骨が動かしにくくなっていないかを一緒に確認することです。
まずは巻き肩をセルフチェック
自宅で簡単に確認できるポイントをご紹介します。
セルフチェックだけで診断することはできませんが、自分の普段の姿勢を知るきっかけとして利用してみましょう。
チェック1.自然に立ったときの手の向き
鏡の前で、力を抜いて自然に立ちます。
このとき、腕を意識的にひねらず、普段どおり下へ垂らしてください。
手のひらが身体の横を向くのではなく、手の甲が大きく前を向いている場合は、肩が内側へ入りやすい姿勢になっている可能性があります。
ただし、左右差や骨格には個人差があるため、これだけで巻き肩と判断することはできません。
チェック2.横から写真を撮る
自分の姿勢は正面の鏡だけでは分かりにくいため、家族などに横から写真を撮ってもらうのもおすすめです。
次のポイントを確認してみましょう。
- 耳が肩より大きく前へ出ていないか
- 肩が胸より前へ巻き込んでいないか
- 背中が丸くなっていないか
- あごが前へ突き出ていないか
首が前へ出る姿勢と巻き肩が一緒にみられる方もいます。
チェック3.壁に背中をつけてみる
壁の前に自然に立ち、お尻と背中を軽く壁へつけます。
肩を無理やり後ろへ引かず、普段の状態で確認してください。
肩の後ろが壁から大きく離れていたり、肩を壁へつけようとすると胸や肩の前側が強く突っ張ったりする場合は、胸や肩周囲が動かしにくくなっている可能性があります。
ただし、「壁に全部つかなければ異常」というテストではありません。
無理に身体を壁へ押しつける必要もありません。
巻き肩になりやすい生活習慣
スマートフォンを長時間見る
スマートフォンを胸やお腹の高さで見ると、顔が下を向き、頭が前へ出やすくなります。
さらに両腕を身体の前へ出してスマートフォンを持つことで、肩も前方へ入りやすくなります。
数分見ることが問題というより、その姿勢で長時間ほとんど身体を動かさないことがポイントです。
デスクワーク
パソコン作業では、キーボードやマウスを操作するために腕を身体の前へ出します。
画面へ顔を近づける癖もあると、頭・肩・背中が前方へ集まった姿勢になりやすくなります。
特に仕事に集中すると、数時間ほとんど姿勢を変えていない方もいます。
ソファでスマホやテレビを見る
ソファに浅く座り、お尻が前へ滑った状態では背中が丸まりやすくなります。
そのままスマートフォンを見ると、さらに頭と肩が前へ出やすくなります。
抱っこや授乳
育児中も、赤ちゃんを見るために下を向き、両腕を身体の前へ出す時間が長くなります。
産後から肩こりや巻き肩が気になるという方では、抱っこや授乳時の姿勢も一緒に確認してみましょう。
巻き肩になると肩こりが起こる?
巻き肩の人が必ず肩こりになるわけではありません。
ただし、肩が前方へ入り、頭も前へ出た姿勢が長時間続くと、首・肩・肩甲骨周辺の筋肉が頭や腕を支えるために働き続けることがあります。
その結果、
- 首から肩が重い
- 肩甲骨の内側が張る
- 首を左右へ向きにくい
- 仕事の後半になると肩がつらい
- 肩を回したくなる
といった症状を感じる方もいます。
肩こりが慢性的に続いている方は、肩だけを揉むのではなく、頭の位置・肩甲骨・胸・背中なども一緒に確認することが大切です。
巻き肩と呼吸は関係する?
「巻き肩になると呼吸が浅くなる」と聞いたことがある方もいると思います。
呼吸は横隔膜を中心に、胸郭や肋骨、その周辺の筋肉などが協調して行われています。
背中が丸まり、頭や肩が前へ出た姿勢では、胸郭周辺の動き方が変化する可能性があります。
実際に、前方へ頭が出た姿勢と呼吸機能との関連を調べた研究もあります。
ただし、息苦しさや呼吸の浅さには、肺や心臓の病気、貧血、ストレスなどさまざまな原因があります。
「呼吸が浅い=巻き肩が原因」と自己判断しないことが重要です。
姿勢と呼吸については、すでに詳しく解説していますので、以下の記事をご覧ください。
巻き肩だから「胸を張る」は正解?
巻き肩が気になる方へ「胸を張りましょう」と言われることがあります。
しかし、胸を張ろうとして腰まで強く反らせ、肩甲骨をずっと寄せ続ける必要はありません。
頑張って作った姿勢は疲れやすく、長時間維持するのも難しくなります。
良い姿勢とは、一つの形を固め続けることではありません。
座る、立つ、歩くなど、場面に合わせて身体を動かしながら、特定の場所だけへ負担が集中しないことが大切です。
巻き肩対策① スマホの位置を少し上げる
まず取り組みやすいのが、スマートフォンを見る位置です。
毎回顔の高さまで持ち上げる必要はありませんが、膝の上で長時間見る状態から、少しだけ画面を高くしてみましょう。
腕が疲れる場合は、肘を机やクッションなどで支えるのがおすすめです。
巻き肩対策② 30分から1時間ごとに肩を動かす
「正しい姿勢を一日中キープ」しようとするより、こまめに身体を動かす方が続けやすいでしょう。
デスクワークやスマートフォンが続いたら、一度腕を下ろし、肩をゆっくり後ろへ数回回します。
痛みを我慢して大きく回す必要はありません。
巻き肩対策③ 胸の前を軽く伸ばす
壁やドアの横に立ち、片方の前腕を軽く当てます。
そこから身体を少し前へ向け、胸の前側が心地よく伸びる程度で止めます。
20秒程度を目安に、呼吸を止めずに行いましょう。
肩に痛みが出る場合は中止してください。
巻き肩対策④ 肩甲骨を「寄せ続けない」
巻き肩を治そうとして、一日中肩甲骨を強く寄せ続けている方もいます。
肩甲骨は固定するものではなく、腕の動きに合わせて動くものです。
強く寄せて固定するのではなく、肩を前・後ろへゆっくり動かし、「動ける状態」を保つことを意識しましょう。
肩甲骨を動かす簡単エクササイズ
椅子に座ったままで構いません。
- 両腕を身体の横へ下ろします。
- 両肩をゆっくり耳へ近づけます。
- 2秒程度止めます。
- 息を吐きながらストンと力を抜きます。
- 次に肩をゆっくり後ろへ5回程度回します。
「肩甲骨を無理に寄せる」のではなく、肩周辺をゆっくり動かすことがポイントです。
姿勢は写真だけで判断しない
姿勢改善というと、壁に立って写真を撮り、「肩が何cm前だから悪い」と判断するイメージを持つ方もいます。
しかし、身体は止まった状態だけでなく、日常生活の中で動いています。
宝塚げんき鍼灸整骨院では、姿勢だけでなく、
- 首を左右へ動かせるか
- 肩を上まで上げられるか
- 肩甲骨が動くか
- 胸や背中が動くか
- どの姿勢で症状が強くなるか
なども確認します。
息苦しさがある場合は「巻き肩」と決めつけない
姿勢によって「深呼吸しにくい気がする」と感じることはありますが、本当の息苦しさを姿勢だけの問題と考えるのは危険です。
次のような症状がある場合は、整骨院で姿勢を整える前に医療機関へご相談ください。
- 突然強い息苦しさが出た
- 胸の痛みや圧迫感がある
- 安静にしていても息が苦しい
- 動悸や冷や汗を伴う
- 唇の色が悪い
- 発熱や激しい咳を伴う
- 以前より少し歩くだけで息切れする
呼吸の症状には、肺・心臓など姿勢以外の原因が隠れている場合があります。
宝塚市で巻き肩・肩こり・姿勢が気になる方へ
宝塚げんき鍼灸整骨院では、「巻き肩だから肩を後ろへ押す」という施術ではありません。
頭の位置、首・肩の動き、胸や背中、肩甲骨、骨盤など身体全体の状態を確認します。
固くなっている部分や動きにくい部分へ施術を行い、ご自宅でも続けやすい姿勢やセルフケアをご提案します。
必要に応じて手技・ストレッチ・鍼灸などを組み合わせます。
姿勢のお悩みは健康保険の対象とはならないため、当院では自費施術で対応しています。
まとめ
巻き肩は、肩が身体の前方へ入り込んだように見える姿勢を表す言葉です。
巻き肩だから必ず肩こりや呼吸の問題が起こるわけではありませんが、頭・肩が前へ出た姿勢を長時間続けることで、首肩や胸周辺へ負担を感じる方もいます。
まずは自然に立った姿勢や横からの写真を確認してみましょう。
そして、無理に一日中胸を張るのではなく、スマホの位置を変える、こまめに姿勢を変える、肩甲骨をゆっくり動かすなど、毎日の小さな習慣から見直してみてください。
宝塚市で巻き肩・猫背・肩こりが気になる方は、宝塚げんき鍼灸整骨院までお気軽にご相談ください。
参考:Koseki T, et al. Effect of forward head posture on thoracic shape and respiratory function. J Phys Ther Sci. 2019.
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